第五章  「刻印書」





僕、トンガリは2階へと登る階段を上がり、一人の男を見つけた。
その男に話し掛けようとしたが、その人物は魔法によって作られた幻影に過ぎなかった。
僕が近くに寄るとその幻影は消え、替わりに一冊の本が出現した。
それはアズルドという人物が残していったものらしい。
そこにはカタストロフィアは実在すること、それが伝承ではなく確実に起きること、 それを事前に防ぐ手段を見つけて実行しなければならないこと、などが書いてあった。
彼はここでカタストロフィアの研究をし、その全貌がわかったら公表して警鐘をならすつもりだったらしい・・・・
僕がその文章を読んでいると、誰かが話し掛けてきた。
男:「ご覧になりましたか?」
突然話し掛けられて僕は驚いて振り向く。
トンガリ:「アンタ誰だ!?」
男:「誰でもいいです。それよりこのクエストの本当の理由お分かりになりましたよね?そう、冒険者の技量を計るのではなく、この刻印書を読んでもらうためにあるのです」
トンガリ:「・・・、ティアを救う冒険者になれっていうことか・・・・」
男:「貴方は冒険者として認定される資格を得ました。後は貴方の選択の自由です。神官長にご自分の意思をお伝えください」
男は一息いれて話し始めた。
男「何故、この刻印書だけが残されていたと思います?カタストロフィアに関する一切を消去せずに」
トンガリ:「その何者かが僕達に読ませたかった、ということか・・・?そもそもカタストロフィアとは何なんだ?」
男:「分かりません。しかし圧倒的な知識を持つ魔術師でさえ、慄然たる事象に精神を触まれた、カタストロフィアとはいったい何なのか?ですが、この世界に住む一部の者はそれが何か知っているとされています。神官長でさえ知る事が叶わなかった。だから冒険者の方に望みをかけているのです。カタストロフィアと呼ばれる事象を明らかにし、それに対抗する手段を見出し、来るべき戦いを切り抜けるだけの力を持たねばならないのです」
僕は、彼の言っている事が本当なら、このティアに住む全ての種が力をあわせなければいけないと思った・・・・
男:「貴方は冒険者になる資格を得たのです。神官長の元へ」
僕は自分の目的もあったが、このカタストロフィアとよばれる事象を防がなければいけない。
そう思い、冒険者になる意思をさらに固めた。
カタストロフィアとは何なのか?
そう思いながら僕はセルミナに戻る事にする・・・



第六章へと続く・・・



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