ガルフネットの頼みで始めたグルメ探しの旅もそろそろ終えようとしている。 僕はレイさんと一緒にグルメを作り、それを今ガルフネット家に持っていくところだ。 予想以上にグルメ集めに時間を掛かっちゃったなぁ・・・など思いながら。 約一週間ぶりにここに着たが、相変わらず立派な屋敷だ。 僕が屋敷の扉をノックすると執事が出てきた。 執事:「おぉ・・・、貴方ですか。どうぞお入り下さい。」 ゆっくりと屋敷の扉が開く。 ガルフネット、ちゃんとあの扉を通れるようにしてくれるかな・・・ 僕はレイさんと作ったグルメをガルフネットに渡した。 ガルフネット:「ふう、おいしかったわ。私の望みを聞いてもらったんだから、あなたの望みも叶えてあげないとね。グリンネル洞窟を通れるようにしてあげる。フフッ、本当よ。」 そう言うとガルフネットは奇妙な呪文を唱える。 詠唱は数秒で終わった。痛みなどは全く感じなかった。 ガルフネット:「これで洞窟の鉄扉はあなたを認識して、通してくれるでしょう。ノーランディアに行くのね。あの地方は戦乱と疫病の蔓延でひどいありさまよ。カタストロフィアなどという伝説じみた事象よりも、もっと現実的なティアの破局への足音を聞くことができるでしょう。あなたがあの地方の人々を救いたいと思うなら、あなたができることが必ずあるはずよ。」 できること・・・・か。そんなにも酷い状況なんだろうか。 そこまで言って、ガルフネットはしばし沈黙した。 心に浮かんだことを言うべきか言わないべきかを悩んでいる様子だ。 やがて、決心がついたのか、ガルフネットは一つ息をついて、僕に話し始めた。 ガルフネット:「私は過去にロゼミュリオンの魔法学院で学んだことがあるの。私は「落ちこぼれ」だったけど、学院生の中に想像を絶する魔力を秘めた四人の魔道師がいたのよ。同じヒトなのに、あれだけの力を持つ者がしかも、同時に四人もいるなんて、学院が始まって以来のことだった。そして、その頃から、ティアの破局を意味する『カタストロフィア』が噂されはじめた。『カタストロフィア』とは間違いなく実在する事象で、そのためにアヴァロン選りすぐりの魔道師達がイルカンド遺跡へと向かった。ロゼミュリオン魔法学院を卒業した彼らは、そのイルカンド選抜隊に選ばれて、その後は四人とも行方不明になった。私は、もし、仮にこの世界を救う者がいるのなら、それは彼ら四人の魔道師なのではないかと思っていて、そして、同時にこの世界を破局に導く者がいるのなら、それも彼ら四人の魔道師なのではないかと思っている。もっとも深き知識を必要とする魔道師の中で、最高峰の位に達していた彼らがこのティアで起きていることに気づかないはずがない。イルカンドを訪ねた後の、彼ら四人の魔道師の行方を追いなさい。それこそが『カタストロフィア』からこのティアの世界を救うための最も近い方法と思えるのです。」 カタストロフィア、それが一体どんな物なのか僕にはわからない。 本来の僕の旅の目的からすればこのカタストロフィアとは関係の無い事だ。 だが何故か無関係とは思えなかった。 この旅の出口、カタストロフィアからティアを救う・・・ カタストロフィアとは何なのか?これを突き止めれば僕の旅の出口が見えるかもしれない。 見えなかったとしても何か分かるはずだ。 僕は考えをまとめ、ノーランディアへ向かう事にした・・・ 第十八章へと続く・・・ |