僕たちは一日がかりで死闘をして老人の好意で泊めてくれた部屋を壊してしまった。 老人に謝るにも謝れないので、僕たちは逃げる事にした。 部屋の割れた窓ガラスが身を乗り出し外へと出る。 見つからないうちにさっさとセルミナの町を抜け出そうと走った。 数分走り、やっとセルミナの出口が見えてきた。 ん?あ、あれは・・・ 僕はシャウトの襟首を捕まえて走るのを止めさせた。 シャウト:「んぁ?何すんだよ!!!速くにげねぇと・・・・・。ん?ありゃぁ・・・・」 彼も気付いたらしい。セルミナの出口の立っていたのは紛れも無いあの家にいた老人だった。 老人:「お二人さん?人様の部屋壊しておいて逃げるんなんて考えてませんよね?」 この人顔は笑ってるけど相当怒ってるよな・・・ こ、ここは強行突破しなかないよな。 僕はシャウトに合図をして出口を全力で駆け抜けようとした、が老人が素早く出口を塞いだ。とても素早い動きだった。 シャウト:「邪魔だ爺さん!!!そこをどけろぉぉぉ――――」 彼の手から強風が巻き起こる。しかし老人は微動だにしない。 老人:「諦めるのだ。その手の術は私には効かない。私の願いを聞いてくれるということで部屋を貸したのですがな」 ね、願い?老人の隙を探しながら、僕は昨日の記憶を引っ張り出してみる。 「お話は明日するので・・・」確かにそう言っていた。 老人は僕達の答えを待っているようだった。 戦うわけにもいかないし、とりあえず「願い」聞いてみるか。 僕は次の魔法を発動させようとしているシャウトを止めて、老人に話し掛ける。 トンガリ:「あの、願いってなんですか?」 老人は白い髭を撫でながら僕に言ってきた。 老人:「私の友人の冒険者が先日来姿を見せなくなった。彼を探索してほしいのだ。彼の名はギルロイ。このセルミナ地方では優秀な戦士であり、著名な冒険者だ。これまでの多くの冒険者同様、彼らも噂されてる何かのためにアヴァロンへの旅立った。 だが、未だに何の連絡もないのだ。彼ほどの使い手なら様々な旅の危険にも容易に対応できるはずだ。これには何か理由があるに違いない。 冒険者の方、願わくば、ギルロイの安否を探ってきてくれたまえ。」 老人は、そう言うと僕たちの間を通り抜けて自分の家へと戻っていった。 優秀な戦士なら心配ないだろうに、こんな事に首突っ込んでいいのかなぁ。 ってそんなことより・・・ だぁぁぁぁぁ!!!!!!僕は何やっているんだよ。捜索依頼なんか受けちまって・・・ 思いっきり寄り道・・・^^; シャウト:「まぁ仕方ねぇだろ?」 珍しくまともな一言。そうだな、あの人部屋を壊した事は気にしてないらしいし。 トンガリ:「そうだね。旅の途中でギルロイって人に会うかも知れないし。でももし見つけられなかったらあの部屋の代金払ったりするかも・・・」 僕は苦笑しながら彼に言った。とりあえずノーランディアへ向かおう。 人探しはそれからだ・・・ 第二十四章へと続く・・・ |