第二十六章  「行方」





ギルロイという人物の情報を手に入れ、シャウトの元へと戻ろうとする最中に僕は妙な紙切れを見つけた。
その紙切れの内容を読む限り、ギルロイは何らかの事件に巻き込まれた。
助けにいっても遅いかもしれないが、見捨てるわけにもいかない。
とりあえず今の状況をギルロイの捜索依頼をしてきたダニエルに教えたほうがいいと思う。
まだシャウトは同じ場所に倒れていた。疲れて寝ているようだったが、僕はそれを引っ張ってセルミナの街へと戻った。
街へと入り真っ直ぐダニエルの家へ向かう。
今日の朝に僕たちが壊したからだろう。彼の家は所々木板を張って補強してあった。
ノックすると老人、ダニエルが出てきた。
ダニエル:「貴方たちですか。何か分かりましたかな?」
トンガリ:「そんなことより・・・」
僕は街外れで拾ってきた紙切れを見せた。彼の表情が困惑の色になる。
ダニエル:「これは確かにギルロイの筆跡だ。彼は闇エルフとの何らかの争いごとに巻き込まれたのだろうか。彼は関所を越えたセルミナ辺境のグリンネル洞窟に向かったと思われる。あなたが私の依頼を誠実に遂行しようとしていることがわかってうれしく思う。引き続き、ギルロイの捜索をお願いしたい。」
少し先のことについて考えてみる。
ギルロイという人物は生きているかもしれないし死んでいるかもしれない。
生きているのかもしれないのなら危険があっても見捨てるわけにもいかないし、ここまで関わったら人事には思えないし・・・
トンガリ:「それじゃあ、行って来ます。」
シャウト:「勝手に決めんなーーー!!!!」
復活したのかシャウトが怒鳴ってきた。それに僕は小声で答える。
トンガリ:「(考えてみろ。この家は金持ちっぽい。もしギルロイを連れ帰れば・・・)」
シャウト:「(報酬どっぷり・・・か。悪くないな。そうとくればさっさとグリンネル洞窟に行くぞ)」
冗談混じりで彼に言ったのだが真に受けたらしい。
まぁ、静かになってくれたので良いのだが・・・
シャウト:「んじゃ爺さん、さっさと連れて来てやるぜ!ほら、トンガリも突っ立ってねぇで行くぞ!!!」
トンガリ:「お、おぃ!待てって・・・ぐぅ」
シャウトが僕の襟首を掴んでむりやり歩き出した。
少し息苦しいが楽なので、黙って引っ張られることにする。
引っ張られ始めて数分。動きが止まり突如、頭に衝撃が走った。
痛みの中、シャウトを見上げると、何やらにやにやと笑っている。
彼が一言
シャウト:「仕返し♪」
トンガリ:「何が仕返し♪じゃぁーーー!!!!!!!」
発した気合と共にシャウトが吹っ飛んでいった・・・



第二十七章へと続く・・・



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