最初から二人で戦っていればよかったとか、何故二人で戦わなかったんだろうとか。 そんな疑問を頭に浮かべたが今更後悔しても遅い。次にする事を考えてみる。 この蜘蛛は硬い。剣では歯が立たない。魔法ならダメージを与えられるかもしれないが魔法が使える当の本人は気絶中(寝てるのかも知れない)。その為無理。 次に考えたのが、逃げる。だがよくよく考えてみると、このまま街に帰ったって噂がさらに一人歩きして恐ろしい事になってそうだった。ので無理。 ダメ元で前にシャウトとダニエル宅で戦ったときに思いついた自分の精神力を塊にして相手に飛ばす技(気功・・・かな)を試してみる。 それを大蜘蛛へ放ってみるが当たった瞬間に霧散した。 虫なら火が効くのかな・・・?でも火の技なんて知らんしなぁ。 そんなことを大蜘蛛の攻撃をかわしながら考えてみる。 大蜘蛛の攻撃は、蜘蛛自体の図体が大きい為に遅く気を抜かなければかわせる速度だった。 また考えてみる。 主人公がピンチになったら誰かが助けに来る・・・なんてないよな。今回はクレストさん来そうにないし。 そこで考えるのを止めて戦闘に集中することにした。 この蜘蛛の硬さじゃぁ剣で貫けそうにもない。力任せに斬り付けてもさっきみたいに跳ね返されるだけだ。何回もやっていると剣が折れてしまうかもしれない。 奥義にかけてみるか・・・? 奥義はかなりの体力を消費する。もしそれが効かなかったら次から蜘蛛の攻撃をかわせなくなるだろう。一か八か・・・ 大蜘蛛の攻撃を後ろに跳んで避け間合いをとる。雑念を払い精神を剣に集中した。 身体の中に溜まっていく力を感じながら剣先をを蜘蛛に向け一気に解き放つ! トンガリ:「喰らえぇぇぇぇぇ、紫電一閃ッ!!!!!!」 迸る氣で剣尖は雷をおび、大蜘蛛に向かって一直線に飛んでいく。 それと同時にがくっと地面に膝をつく。奥義を使った後の疲労感だ。 大蜘蛛に向かっていった雷は音を立てながらそれに直撃した。 蜘蛛の焦げた臭いが漂ってくる。・・・勝ったか? 勝利を確信したときボロボロになった大蜘蛛がゆっくりと動き始めた。 トンガリ:「う・・・嘘だろ?」 声に出して驚いた。大蜘蛛はそのボロボロの八本足をゆっくりと動かしながら近づいてきた。 蜘蛛の一本の足が疲労で動けない僕に向かって飛んでくる。 トンガリ:「ちっ・・・ここまでか。」 死の覚悟を決めた瞬間に大蜘蛛が鈍い音を立て粉々に砕けた。 砕けた・・・だと?奥義を喰らって弱っていたといえあの蜘蛛はかなりの硬さだった。 それを砕くなんて常人のできる業ではない。 大蜘蛛の残骸をパキパキ踏みながらゆっくりと一人の女が姿を現した・・・ 第三十章へと続く・・・ |