セルミナ草原を抜けて、ガルフネットの屋敷へと僕達は向かっているところだった。 ダニエル爺の話では悪霊の森へは簡単に入れないらしい。ギルロイの友人であるレンジ ャーの男に方法を聞けと言われた。その男はガルフネットの家へ滞在することがあるらし いので、辺境にあるガルフネットの屋敷へと向かっているわけだ。 シャウト:「一ついいか、トンガリ。」 トンガリ:「あっ、何だ?」 いつも通りの会話。を予想していたのだが、今回は違った。そう、彼の口からいつもと は違う言葉が発せられた。 シャウト:「俺、故郷へ帰るわ。」 トンガリ&チェリケー:「なんだとぉぉぉ!!!?」 二人同時に飛び跳ねるほど驚いた。本当に飛び跳ねたかもしれない…… トンガリ:「おぃ、シャウト!どうした、何か僕達がお前に嫌がることでもしたか!!?」 チェリケー:「きっとぉ、明日ぁにいいことありますよぉ〜^^」 一拍置いて、彼が口を開く。 シャウト:「何かだるくなった。気が向いたらまた会おうや。んじゃ。」 だるい、だとぉぉ!!?お前に、んな事いう権利はねぇよ……^^;第一何もやってないだ ろ。こいつは。……とにぃ、 トンガリ:「冗談抜きにして行くぞ……って。チェリケーさん、シャウトは?」 間の抜けた口調でチェリケーが口を開いた。 チェリケー:「さっき、転移しましたよぉ〜♪」 何考えているんだ、あいつは。畜生、魔法使いがいないってなると打撃が効かない敵に出 会ったらどうする!?土下座して謝ったって魔物は許してくれない?んだぞ!!?本当どうすんだ よ。あ〜ぁ、セルミナ戻って、魔法使いでも連れてこようかなぁ。でもここからセルミナ戻 るんじゃ、面倒くさいしなぁ。そもそも闇エルフってどういう奴らなんだろう。見たこと無 いから分からないな。あぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁ、そいつらが異常に頑丈だった場合、どう すんだよぉぉ…… チェリケー:「着きましたよぉ、ガルフネットさんちぃ〜」 彼女に言われて気がつくと、もう目の前に立派な屋敷が建っていた。何ヶ月か前に一度来 ただけだけど、あの時は大変だったなぁ。コックのレイさんとかにグルメ調理を教えてもら って、それをガルフネットに届けたんだから。いやぁ、あれは辛かった。 チェリケー:「失礼しまぁぁぁす。」 ぐわっ、もう入るのかよ。 二度目の訪問になるのだがいつ来てもここは立派な屋敷だった。辺境だというのにかなり 豪華な造りになっている。入るのに遠慮してしまうくらいに。執事に通されガルフネットの 元へと僕は歩いた。 ガルフネット:「あら、アンタね?久しぶり。今日は何の用件でわざわざ来たの?」 相変わらず辛口な喋り方で僕に言って来た。少し雰囲気に圧されそうになるが口を開く。 トンガリ:「こちらに、ギルロイの友人のレンジャーの男が来ていないですか?その男に用 があるんです。」 ふ〜ん、といった感じでガルフネットが僕の問いに答えた。 ガルフネット:「彼はたまに来るわよ?でも今日は来てないわね。」 トンガリ:「そうですかぁ……」 僕の後ろにいたチェリケーが文句を言う。真面目なときの口調で。 チェリケー:「私達を彼が来るまでここに置いてもらえませんでしょうか?」 ガルフネット:「う〜ん、分かったわ。爺、客人用の部屋へこの二人を案内して」 ふぅ、助かったぁ。これで野宿はしなくてすむ。 ガルフネット家の執事に案内され客室へと通された。二人別々の部屋が良かったのだが、 そうそう客人の為に部屋を貸してはくれないらしい。執事がどうぞごゆっくりと言い部屋を 出て行くと置いてある上質そうなベッドに僕は倒れこんだ。 トンガリ:「まぁ、二人で個室一個だけど、ベッドは二つあるんで良かったですね。」 チェリケー:「そうですねぇ〜。それよりシャウトさん何処行ったんでしょうねぇ?」 トンガリ:「……さぁ?」 色々な無駄話をしながら時は過ぎていった…… 第三十五章へと続く・・・ |