第三十四章  「分離」





 セルミナ草原を抜けて、ガルフネットの屋敷へと僕達は向かっているところだった。
 ダニエル爺の話では悪霊の森へは簡単に入れないらしい。ギルロイの友人であるレンジ
ャーの男に方法を聞けと言われた。その男はガルフネットの家へ滞在することがあるらし
いので、辺境にあるガルフネットの屋敷へと向かっているわけだ。
シャウト:「一ついいか、トンガリ。」
トンガリ:「あっ、何だ?」
 いつも通りの会話。を予想していたのだが、今回は違った。そう、彼の口からいつもと
は違う言葉が発せられた。
シャウト:「俺、故郷へ帰るわ。」
トンガリ&チェリケー:「なんだとぉぉぉ!!!?」
 二人同時に飛び跳ねるほど驚いた。本当に飛び跳ねたかもしれない……
トンガリ:「おぃ、シャウト!どうした、何か僕達がお前に嫌がることでもしたか!!?」
チェリケー:「きっとぉ、明日ぁにいいことありますよぉ〜^^」
 一拍置いて、彼が口を開く。
シャウト:「何かだるくなった。気が向いたらまた会おうや。んじゃ。」
 だるい、だとぉぉ!!?お前に、んな事いう権利はねぇよ……^^;第一何もやってないだ
ろ。こいつは。……とにぃ、
トンガリ:「冗談抜きにして行くぞ……って。チェリケーさん、シャウトは?」
 間の抜けた口調でチェリケーが口を開いた。
チェリケー:「さっき、転移しましたよぉ〜♪」
 何考えているんだ、あいつは。畜生、魔法使いがいないってなると打撃が効かない敵に出
会ったらどうする!?土下座して謝ったって魔物は許してくれない?んだぞ!!?本当どうすんだ
よ。あ〜ぁ、セルミナ戻って、魔法使いでも連れてこようかなぁ。でもここからセルミナ戻
るんじゃ、面倒くさいしなぁ。そもそも闇エルフってどういう奴らなんだろう。見たこと無
いから分からないな。あぁぁぁぁぁっぁぁぁぁぁ、そいつらが異常に頑丈だった場合、どう
すんだよぉぉ……
チェリケー:「着きましたよぉ、ガルフネットさんちぃ〜」
 彼女に言われて気がつくと、もう目の前に立派な屋敷が建っていた。何ヶ月か前に一度来
ただけだけど、あの時は大変だったなぁ。コックのレイさんとかにグルメ調理を教えてもら
って、それをガルフネットに届けたんだから。いやぁ、あれは辛かった。
チェリケー:「失礼しまぁぁぁす。」
 ぐわっ、もう入るのかよ。
 二度目の訪問になるのだがいつ来てもここは立派な屋敷だった。辺境だというのにかなり
豪華な造りになっている。入るのに遠慮してしまうくらいに。執事に通されガルフネットの
元へと僕は歩いた。
ガルフネット:「あら、アンタね?久しぶり。今日は何の用件でわざわざ来たの?」
 相変わらず辛口な喋り方で僕に言って来た。少し雰囲気に圧されそうになるが口を開く。
トンガリ:「こちらに、ギルロイの友人のレンジャーの男が来ていないですか?その男に用
があるんです。」
 ふ〜ん、といった感じでガルフネットが僕の問いに答えた。
ガルフネット:「彼はたまに来るわよ?でも今日は来てないわね。」
トンガリ:「そうですかぁ……」
 僕の後ろにいたチェリケーが文句を言う。真面目なときの口調で。
チェリケー:「私達を彼が来るまでここに置いてもらえませんでしょうか?」
ガルフネット:「う〜ん、分かったわ。爺、客人用の部屋へこの二人を案内して」
 ふぅ、助かったぁ。これで野宿はしなくてすむ。
 ガルフネット家の執事に案内され客室へと通された。二人別々の部屋が良かったのだが、
そうそう客人の為に部屋を貸してはくれないらしい。執事がどうぞごゆっくりと言い部屋を
出て行くと置いてある上質そうなベッドに僕は倒れこんだ。
トンガリ:「まぁ、二人で個室一個だけど、ベッドは二つあるんで良かったですね。」
チェリケー:「そうですねぇ〜。それよりシャウトさん何処行ったんでしょうねぇ?」
トンガリ:「……さぁ?」
 色々な無駄話をしながら時は過ぎていった……



第三十五章へと続く・・・



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