あれからガルフネット家へと戻った僕は叱られた。こっそり戻ったつもりなんだけど。 執事に「何をやっているんですか?」など入った途端に聞かれてそのままガルフネットに 突き出されて理由を喋らされるはめになり、ガルフネットに散々「客人のくせに勝手に外 出してんじゃない!」とか言われまくった。チェリケーさんのことは適当に言っておいた ので大丈夫だろう。 その日の午後、ギルロイの友人だというレンジャーはやってきた。どうやら定期的にこ こに来て外の情報などをガルフネットに教えているらしい。ある程度、ガルフネットと話 した後、二階の部屋へ彼が上ろうとしていたのであわてて、捕まえる。 「ちょ、ちょっと聞きたいんですが」 「なんだい?」 レンジャー……か。森の民とも呼ばれる。森のエキスパート。森について知らないこと はない。 「えと、ギルロイさんの友人の方ですよね?」 「あぁ、ギルロイに何かあったのかい?」 「ちょっと……何か事件に巻き込まれたそうです。で、僕は調査の為に悪霊の森へ入らな ければならないんです」 友人の身にあったことを心配しているのだろう。軽快そうな顔が不安な色へ変わってい る。 「わかったよ。くれぐれも気をつけてくれよ、あの森は……生き者が行くところではない のだから……」 「ギルロイさんは無事です(たぶん)安心してください。」 「悪霊の森の内部に入るには青色の花を追っていくといずれつけるよ」 「ありがとうございます」 入り方を教えてくれたレンジャーに軽く礼をして立ち去りながら思い出した。 ギルロイのお陰で僕は父さんに会えるかもしれないんだな。ギルロイか…、大丈夫かな、 どこへ吹っ飛んだかわからないけど。 出口の扉を開け外へ出ようとして後ろから声をかけられる。無論、さっきのレンジャー に。 「くれぐれも気をつけてくれよ、一度入ったらあそこからは出られない。これを渡してお くよ」 と彼は言い、何かを僕に投げてよこした。不思議な形をしたものだ、おそらくチェリケ ーさんが言っていた移動装置。ベンゼン爺の話から考えるに、これがないとあの森を出る ことはできないらしい。 父さん…… 父に会えると思うと、嬉しいはずなのに何故か違う感情が沸いてくる。勿論、喜びの感 情の方が多いのだが、怒りというか……どうしてあの時、僕に対して何も言ってくれなか ったのかに対する思い。怒りなのかもしれない。けど、何か違う…… 僕は父さんに会えるのか……、あの森で。会って何がしたいのだろう。 この疑問だけが残る。自分は父にあって何をしたいのだろう…… そもそもの旅の目的、父探し。もう一つはルーインの敵打ちだが。 父さんにあった時、僕は何を思うのだろうか。 その考えは無くなることのなく僕の頭の中で廻り続けた…… 第四十二章へと続く・・・ |